遠藤健太選手は2017年えひめ国体パワーリフティング競技105kg級で優勝、
続くジャパンクラシックベンチでは190kgで全国4位、
そして宮城県ベンチプレス大会では県新記録となる200kgに成功、
とすばらしい結果を次々と残されております。

その圧倒的なパワーと驚異的な伸びを生むトレーニング方法に
ついてお聞きしました。


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@ 現在の練習頻度を教えてください

  
週4日、一回当たり2.5〜3時間

A 三種目の練習頻度を教えてください

  
ベンチプレス週2回、スクワット・デットリフト週1回ずつ

B 具体的な練習メニューは

  
全ての種目においてその日の1RMや10RMのMAX更新狙いの
  トレーニングをしています。
  例)ベンチプレス(尻上げベンチプレス)2017.11.22現在
  アップ60kg×15rep、100kg×15rep、150kg×15rep
  メインセット180kg×10rep狙い、200kg×5rep狙い
  210kg×3rep狙い、220kg×1rep狙い
  アフターセット200kg×3rep×3set狙い→成功したら
  次回2.5kg増

C メインセットのインターバル時間は

  常に試合を想定しているので、メインセットにおいては
  10〜15分くらい


D 補助種目について

  スクワット(フロントスクワット、ボトムストップスクワット等)
  ベンチプレス(ナローベンチ、インクラインベンチ、足上げベンチ等)
  デットリフト(ハイプル、ラットプルダウン等)

E サプリメント摂取について

 ●朝プロテイン30g、グルタミン10g、クレアチン5g、青汁
  マルチビタミン、グルコサミン
  
 ●トレーニング1時間前プロテイン10g、グルタミン5g、クレアチン5g、
  
ヴィターゴ10g、BCAA10g

 ●トレーニング中ヴィターゴ30g、BCAA20g

 ●トレーニング後プロテイン40g、ヴィターゴ20g
  グルタミン10g、クレアチン5g

 ●就寝前プロテイン30g、グルタミン10g、クレアチン5g
  シトルリン&アルギニン、マルチビタミン、グルコサミン

  ※サプリメントに関しては全てマイプロテインもしくは
   ファインラボ社を使用しています。


F 食事で気をつけていることは

  好きなもの(炭水化物など)を好きなだけ食べる
 (身体にストレスを与えないため)。
  そのかわり、必ず食べたあとにプロテインを摂取する。
  体重は気にしない。

G 記録が急に伸びた時はどういう時ですか

  基本的には体重が増加した時に大会の試技で記録が大幅に
  更新できたことが多いです。それ以外は全国規模の大会前や
  大会後でモチベーションが上がっている時です。

H 記録が伸び悩んだ時はどうしていますか

  食べる!もしくは寝る!です。単純ですが、体重に左右されやすい
  競技ですので、体重を増やすことと、自分が思っている以上に
  身体に負担がかかっていると思いますので、伸び悩んだ時は
  いろんな方法で休養をとります。
  あとは伸び悩むとどうしてもあれもこれもやってみようと
  練習方法を変える人がいますが、これはダメだと個人的には
  思っています。
  これまで伸びてきた練習はずっと続けるべきでそれ以外は捨てるべき。
  それよりも重要なのはメインセットの重量が落ちてしまわないように
  常にキープし、伸びる時期がくるまで耐え忍ぶことだと思います。
  伸びる時期は絶対にきます。

I これは重要だと思うテクニック

  ■スクワット(ボトムから切り返すときのニースリーブの効かせ方)
  
  ■ベンチプレス(ラックアップから押し切るまでの連動性)
  
  ■デットリフト(拳上時の初速と引ききるまでのスピード感)
  
  特にベンチプレスでは、ラックアップ後のスタートポジション、
  バーベルを下ろす位置、プレスコールへの反応の速さなどは
  普段から試合を想定していなければ冷静に行えない場合が
  多いと思います。
  いかに冷静にスタートから押し切るまでバーベルに力を伝えられるか
  の連動性はとても重要なテクニックだと思います。

J おすすめの練習方法はありますか

  ●スクワット→フロントスクワット
         前傾していると前に倒れてしまうため、
         前傾姿勢になりがちな人の矯正にもなる
  
  ●ベンチプレス→尻上げベンチ
         自分は通常、尻上げでしかベンチプレスをしません。
         尻上げの場合、高いブリッジを組む練習にもなるし、
         重量を挙げやすいので試合プラス10kg〜20kgくらいの
         重量を挙げられますので、神経系のトレーニングに
         なります。
  
  ●デットリフト→ハイプル
         ファーストプルにおいての初速トレーニングになります。


K ケガをしたことはありますか

  大会前にデットリフトでギックリ腰を2回やらかしています。
  一番苦手な種目ですので、いかにフォームが悪いのか痛感させられます。
  とにかくたくさん整骨院へ通ってことなきを得ました。 
  あと最近ではベンチプレス時に両腕の前腕外側に痛みも発症しています。
  これは大幅なフォーム修正で改善に向かっています。

L 初心者へのアドバイスをお願いします

  私自身、知識も経験も浅いパワーリフティング初心者なので、非常に
  恐縮なのですが、セオリー通りにトレーニングをするだけがトレーニング
  ではないのは分かっておいた方が良いと思われます。
  あとはどんな種目においても「負けず嫌い」であることが重要だと思います。

M よく見る間違った練習法などありますか

  基本的に人間の身体は骨格も筋肉の付き方も身長も体重も人それぞれだし、
  その人のクセや4スタンスのようなタイプもあります。
  他人から見て「あなたのトレーニング方法やフォームは間違っている」
  と言われても、自分にはきちんと効いていて試合でもきちんと結果が
  でていれば間違った練習方法ではないと個人的に思っています。
  Lでも書きましたが、セオリー通りも大切なことだとは思います。
  しかし重要なのは「試合で結果の出せる練習」であって「練習のための練習」と
  混同している練習方法は無益だと個人的には思います。

N 試合での失敗談はありますか

  やはり経験不足が深刻です。競技用ラックの使い方がわからなかったり、
  時間を勘違いして前のグループと一緒にアップをしてしまって試技開始まで
  1時間くらいボーっとしてしまったこともありました。

O ピーキングはどのようにしていますか

  基本的に毎日が試合だと思って練習しているので、毎日がピーキングです。
  必ずその日のMAX更新狙いでトレーニングしています。
  調整という意味では大会2週間前から練習のボリュームを落とすくらいです。
  大会3日前くらいから何もしません。

P 宮城県のパワーリフティングについて感じること

  全国規模でみても強い選手が多く、東北の中で一番ハイレベルな宮城県ですので
  もっと県民に広く認知していただくためにも様々なメディアを通じて
  プロモーションした方が良いと思います。
  県知事を訪問して各全国大会の優勝・入賞報告やテレビ局に県大会の様子を
  流してもらうなど、こんなに素晴らしい競技があることを広く知ってほしいと
  思います。他の県では実際やっています。

Q その他パワーリフティングについての持論や要望、将来の目標について

  大きい大会であれ小さい大会であれ、敵は相手でもあり、自分自身でもあります。
  実際に出場することで本当に多くの経験を積むことができますし、
  全てのスポーツ競技においての基本的なトレーニング種目ですので、
  もっともっと多くの学生や社会人にこの競技を認知してもらい競技人口を
  増やしていきたいと思っています。現状そうするためには宮城県勢でたくさん
  実績を残し、それをSNSやメディアで拡散し、広く認知してもらうのが
  一番効率的と考えています。
  私個人の目標としては今後は世界大会出場・優勝を目標に精進し、
  夢を実現できるよう努力していきたいと思っています


ありがとうございました!
毎回MAX狙いの練習、試合を想定したインターバル、セオリーにとらわれない
練習スタイルなど遠藤選手は常に「結果の出せる練習」を心がけており、それが
わずか6か月でベンチプレス+25kgという驚異的な進化を遂げている要因の
ひとつではないかと思われます。

ストレスを溜めないために好きなものを好きなだけ食べる一方で、きちんと
プロテインを一日110g摂取するというスタイルもケガをせずに好調を維持する
秘訣かもしれません。

「記録が伸びた一番の要因は?」の質問に「負けず嫌いです!」と答えられましたが
遠藤選手は非常に研究熱心な理論家でもあり、その理論と負けず嫌いの精神の
融合こそが驚異的な記録更新の元になっていると感じました。
全日本ならびに世界での活躍を期待しております!

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