先日宮城県記録を更新した菱沼駿選手にトレーニング
方法などをお聞きしました。
菱沼選手はジムでインストラクターも務めているため
情報収集と研究により常に最先端の理論に基づいて
トレーニングを行い､かつ指導もしております。
①練習頻度を教えてください。
週5日、1回2時間程度。
自分の仕事柄、色んなジムを回るためそこでできること
をしています。
基本的にそこで可能であればBIG3の練習、それ以外は
補助のトレーニング時間に回しています。
②三種目の練習頻度を教えてください。
スクワット 週1回
ベンチプレス 週2回
デッドリフト 週1回
基本的にベンチプレスは毎日触れるようにはしています。
(メイン練習が主に週に2日3時間ほど。)前述に記載の通り
BIG3のメイン練習は他の方より少ないかもしれません。
③三種目の具体的なメニューを教えてください。
●スクワット
「基本的なスクワットの他に、レッグEXやレッグカールなど
を好んでやっています。」
●ベンチプレス
「ベンチプレスは週のメイン練習以外は、基本的にダンベル
やマシンでハイボリュームでトレーニングします。
しっかりとした筋量の増加が、挙上重量にとても反映され
やすい種目だと思います。」
●デッドリフト
「最近ではボディビル競技を目指し、背中のトレーニング
(ラットマシン、ローイングマシン等)を頻度高めで
取り組んでいます。
その結果停滞していたデッドリフトが伸び始めてきて
いたので、デッドリフトとは別に背中のトレーニングも
大切ではないかと思います。」
④特に記録の伸びが著しいﾍﾞﾝﾁﾌﾟﾚｽについてお聞きします。
・セッティング・呼吸・ブリッジ・軌道・足の使い方などで意識
していることを教えてください。
・セッティングの際はほぼ力を入れずに、身体がフラットな
柔らかい状態でフォームを組みます。
・呼吸に関しては自分は胸圧を強める意識で行っています。
この点に関しては腹圧にかける方が多いと思うので、
参考程度にお願いします。
ブリッジに関しては、自分が1番力を出せるほどの屈曲をします。
自分の理想はアーチの高いハイブリッジですが、自分の
適正はそこまで高いブリッジではないと考えます。
強い選手の真似をして、柔軟ストレッチとハイブリッジの
練習を多く取り組んでいましたが、調子が落ちてしまったために、
今は自分に必要なものを求めて練習しています。
軌道に関しては、胸肩腕がバランス良く連動できるように、
斜め下に下ろし斜め上へ戻すような軌道で行っています。
軽く脇を開いた小さく前ならえから、大きく前ならえをする
ような形です。
脚に関しては、最初はあまり力が入っていません。
お尻を上げラックアップした際に初めてかかり、そのまま脚の
力を抜かずにお尻を落とし、セットアップします。
初めから脚の力が強くかかる状態だとラックアップが
上手くいかないため、自分はこの意識で行なっています。
・どのような時に記録が伸びましたか。
1セット1セットの中身を考えるようにします、今はどんなところ
が良くて、何が悪かったか。また動画を撮って確認したり、
チームメンバーの方に見てもらったりと、考えながら
練習を必ずするようにしています。
・おすすめの練習法を教えてください。
普段通常のベンチプレスしか行わない方へ特におすすめが、
ナローでの脚上げ、セーフティーに落としたピンプレス、
お尻を上げたトップサイドなど、普段やらないことを
バランスよくやるのが良いと思います。
自分も反復練習が必要な通常のベンチプレスの練習以外は、
毎日違うことを行います。
⑤強くなるために必要なことは何でしょうか？
前述の通り、考えて練習をすることと、誰の意見でも深く
聞いてみて、自分に何が足りないかを探すことだと思います。
思わぬアドバイスで自分の強くなる秘訣が手に入るかも
しれません。
それはトレーニングしてる人以外や、練習を見ていた人、
家族、知り合い等誰が気付かせてくれるかわからないので、
常に興味を持って話を聞きます。
⑥けがをしたことはありますか？
その時どのように対処しましたか？
普段の高頻度の練習でもあまり怪我はしませんが、先日の
ベンチプレス大会前に右肩を痛めてしまって、腕が全く
上がらなくなった際は、瀬野尾さんに治療していただき、
試合をすることができました。
この場をお借りしてまたお礼を申し上げます。
いつも本当にありがとうございます。
⑦ピーキングはいつ頃から始めますか？
1ヶ月前から始めます、自分の場合はピークへ持っていく
までが早いので、短めのスパンでつくります。
自分の考えでは、階級体重や扱う重量によって、身体と
相談しながら怪我をしないように、少しずつピーキングを
行うことが大切だと考えます。
⑧摂っているサプリメントを教えてください。
とても多いので書ききれませんが、
主要なところだとプロテイン、BCAA、クレアチン、マルチビタミン
等です。
あくまでサプリメントなので、主要な身体作りのための栄養素は、
普段の食事から摂るように心がけています。
⑨初心者におすすめの練習法を教えてください。
まずは種目数を絞り、その種目のセット数を増やして
しっかり行うことが大切だと思います。
初めから色々な種目に取り組むよりも、ベンチならベンチを、
しっかりと反復して行うのが良いと思います。
⑩今の目標はなんですか？
まずはしっかりと大会での自己ベストを目標としています。
順位を考えるあまり、重量設定を誤りトータルベストや練習での
重量が上がらないことがあることが多いです。
自分の実力も然り、小さな目標を少しずつクリアしていくように
頑張ります。
⑪菱沼選手にとってパワーリフティングとはどのようなものですか？
強さを追い求める人達が切磋琢磨できる、最高の競技だと思います。
主観的な称賛よりも、強い選手は何度も重量を上げ、その強さを
絶対的に証明します。誰にも文句は言わせません。
そんな北野先生や遠藤選手の姿を見て、自分も強くなりたいと思うと
共に、本当に私はこれが好きなんだと、大会のたびに実感しています。
⑫宮城県協会に要望などありましたらお願いいたします。
宮城県はチームはもちろんのこと、個人参加の選手もはじめての
方を、とても優しく受け入れて応援してくれる点や、大会運営が
とてもスムーズで選手としてもとてもありがたいです。
東北大の皆様にも感謝を忘れず、競技をすると共にさらに協会に
お力添えをできるように、頑張りたいと思います。
いつもありがとうございます。
ありがとうございました！
やはり「考えながら練習する」というのが重要で
練習中にどれだけ多くのことに気づけるかが
記録を伸ばすポイントかもしれません。
もっと細かいところも聞きたかったのですが
「書くとキリがないので直接聞いて下さい」
とのことでした。
菱沼選手は練習方法だけでなくルールや器具・栄養・
ケガのケアなどにも詳しく、さらに海外の選手とも交流が
あり海外の話題などについても詳しいので
ぜひ直接話を聞いてみて下さい。
今後の菱沼選手の活躍に期待しております！
ありがとうございました！